“マイルール”おじさん

仕事仲間に不思議なおじさんがいる。

その現場では、役割分担が5つほどあり、それを一週毎に変えていく。働く人間は全員で8人なので、分担から漏れる者が出てくる。

その人は”フリー”扱いで、その日に出勤していない人の役割をする。

その分担が適当に第一週から二、三、四、五と順に切り替わっていく。

この切り替わりが何故か嫌がるのだ。

「ほら? たまには”フリー”の週が欲しいよね」とこちらに同意を求めて来たが、全く共感できなかった。

だが、別に仕事上の役割にさほどこだわりは無いので、そのおじさんの役割シフトは、第二週と第三週の間に”フリー”の週が挟まれる事になった。

このおじさんは何故か、こういう、こちらが理解しきれない”こだわり”が何故か多かった。

別の同僚が急に休む事になり、代わりにシフトに入ると言ってくれた人がいた。ありがたい話だ。

しかし、このおじさんはそれが気に入らない。

「あまり勝手にシフトを変えるのは、いかがなものか…」

そう言い出し、シフトの急に変更を止めさせようとした。

人数が足りないところを助けてくれるのに、おじさんは「それはルールに反する」という。

確かに現場でシフトを変えるのは社内規定に反する。だが、この場合、仕方ないではないか?

何故、おじさんは苦言を吐くのか?

どうも、そのおじさんの中に自分が決めた”マイルール”があり、それに乗っ取って発言、行動しているらしい。

似たようなものは、俺にもある。

だが、時と場所、人間関係、立場によって変える。引っ込めたりする。

それが当たり前だし、社会人として”仕方ない”と思っていた。

だが、おじさんは違う。

厳格に”マイルール”を守っているのだ。

(面倒だな…)と思いつつ、そのおじさんが妙に眩しい。